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入来花水木会 | ||
令和4年度 第2回 「県の景観アドバイザー制度による入来麓の視察」の実施結果 |
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『観光資源としての山城跡の活用と案内標識のあり方』をテーマに清色城跡に登りながら、東川隆太郎氏にアドバイスをお伺いした。以下に、要点を列挙する。 (文責 : 入来花水木会事務局) |
1.案内標識のあり方について (1)看板について
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山城登り口の案内板の前で | ロープと杖を助けに登山 | |||||||||
本丸跡へ到着 | 本丸跡で記念撮影 |
2.観光資源としての山城跡 (1)麓と山城 |
鹿児島の麓は、背後に山城があって、麓と山城がセットだと考えられるけれど、このルールに合わないところもたくさんある。戦乱の世の中からちょっと平和な時代になると、街道沿いだったり、港だったり、利便性を考えて麓が移転した。入来は、麓と山城がセットで遺っている典型である。平面に広がった景観だけではなく、立体的な景観がここにはある。 |
(2)お仮屋跡と掘 |
だいたいお仮屋跡とか領主跡はおおかたが役場や学校になっていて、利便性を考えて、車が来やすいように舗装されたり、駐車場になったりしている。しかし、ここ(お仮屋馬場)は舗装されてない。鹿児島でも唯一である。玉石垣は知覧や出水など他の伝建地区でも保たれているけれど、舗装されないで江戸期からのところが遺っているのはここだけである。入来の人はおおいに誇りにして頂きたい。もう一つ、領主館の前に堀がある。これも珍しい。鹿児島でこういうところが残っているのは、串良にちょっと残っているだけである。これも面白い、ここの特徴である。 |
(3)山城と水 |
どうして山城の下に麓が形成されたのかというと、水である。流堆積物であるシラス台地は水はけが良くて、崖下にある麓から清水が湧き出る。入来小学校の領主館の下に水があることや増田家住宅の裏に湧水があるのは火砕流堆積物の影響である。蛇口をひねれば水が出る時代じゃなかったときに、水が豊富だということは、居住空間としてすごく秀逸であった。したがって、麓に人が住むことは理にかなっていたし、ちょっと身分の高い人たちが衛生面から、生活面からここに居住地を求めるのはごく自然な流れであった。こういうことも入来麓の特徴の一つである。 |
お仮屋跡の説明板の前で | 山城登り口へ |
(4)清色城の山城としての特徴 |
山城のバリア、入り難さというものは、そこの領主が置かれた状況によってだいぶ変わる。周辺に強い豪族がいたり、脅威みたいなものがあったりするところは、城自体がやはり強固になる。実際に清色城跡に登ってみると、登るのが大変だということがわかる。この大変さがここの山城の特徴である。入来院氏は、中世から戦国時代までずっと戦いに晒されてきた人たちだった。その特徴というものが城に表われている。 |
入来院氏が渋谷五族として入ってきた最初の拠点は、いまの川内川沿いの倉野、旧樋脇町の方であって、あちらの方からこちらの方に移ってきたといわれている。川内川の流域は水運を考える上でベストな場所だが、そこよりもここだったということは、いろんな思いがあったのだと思われる。 |
(5)観光資源としての山城活用のために |
本丸跡から外堀の樋脇川が見えると良いのだが、木が茂っていて見えない。ドローンを飛ばして撮影した空中写真をパンフレットに載せて、こんなふうに見えるとすることもできる。本丸跡にも看板は置かない方がいい。雰囲気が当時に少しでも近いというのが良い。 山は人が入ると、守られていく。家屋もそうだけれども、忘れられているところはどんどん荒れて来る。人が入るだけで森は変わる。踏み歩くということが大事である。 活動範囲として、清色城跡はすごくいいフィールドである。文化財というのは使ってなんぼである。見せてなんぼである。それを担うのは一般の市民である。整備については行政も係るけれど、活用については地域の皆さんがどんどん参加するというのがこれからの流れである。 入来麓観光案内所で、300円で売っている清色城の御城印は喜ばれる。よく売れている。御城印を最初に発売したのは清色城である。鹿児島の城郭の始まりは、ここ清色城であるから売れるわけである。御城印は、マニアが城跡を訪ねた証(あかし)として購入する。パンフレットとセットで持って帰ってもらったらいい。パンフレットは有料でもかまわないと思う。城跡の保全活動の資金として使うようにして徴収すれば、行政に頼らないでパンフレットをつくれる。 |
【用語】 |
縄張り図=現状の遺構から曲輪(くるわ)や防御施設の配置を読みとり、城の構造をわかりやすく示した図面のことで、実際に城歩きの際に遺構の位置や規模を確認するのに役立つ。 曲輪(くるわ)=軍事的・政治的な意図を持って、城の内外を土塁、石垣、堀などで区画した平面空間のこと。郭(くるわ)とも書く。 |
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